シンフォニック・メタル、ゴシック・メタル そう呼ばれるジャンルでは女性ボーカルであることが多い。
そこに男声グラント(デスボイス)がいて、ツインボーカルという形は このジャンルの初期からあるスタイルだ。
それを高次元で用いて、世界的に名を馳せるのが オランダの EPICA だ。
Within Temptation , DELAIN 等、 何気に世界的なメタル・バンドを出している国、オランダ。
EPICA は2003年にそんなオランダから現れたバンドである。
この手のバンドは洗練されるまでに6,7年はかかるらしい。
2009年にリリースされた4枚目 "Design Your Universe" で、 その世界観が完全に確立されたといってもいいのではないか。
それまで、オーケストレーション中心のメタルだったところへ、 ギタリスト、ドラマーの交代を経て、より攻撃的なドラミング、 ギターのフレーズやソロ・パートが入り、メタルの醍醐味も強烈になっていく。
この、ギター、ベース、ドラムが一体となってリズムを刻む部分が 何とも気持ちいいものに聞こえるものだ。
デスボイスにがっかりする人は前回記事と同様に効果音として聴いてみてはいかがだろうか。
そして、去年(2014年)6枚目となるアルバム "The Quantum Enigma" が日の目を見る。
最高傑作とも名高いこのアルバムだが、毎回のように1曲目はオーケストレーション全開の壮大なインスト曲で始まりをつげ、その映画のような前奏曲から一転してメタルのサウンドに早変わりする、このスタイルで飽きを感じさせない。
途中で女性ボーカルだけの曲も挟みつつ、最後まで約60~70分の激しくも心地よい音の旅をさせてくれる。
余談だが、4,6枚目がよく出来過ぎていて、5枚目の "Requiem For The Indifferent" は 個人的には聴かなくても、悪くはないと思う。
EPICA はライブバンドでもある。
10周年を迎えるに当たっての "RETROSPECT" というライブDVDでは、フル・オーケストラ、フル・クワイヤーを加えての3時間、ベスト盤とも言えるセットリストで見せてくれ、自身の楽曲だけでなく、映画のカバーなんかもやっていたりする。 (RETROSPECT は国内盤はCDのみ)
また"The Classical Conspiracy" というライブ盤(こちらはCD)ではクラシックもカバーしているなど、バンドの幅の広さを見せている。
さてさて、そんな EPICA は現在、ヨーロッパのフェスを回り、さらには北米、その後に再度ヨーロッパと、今年いっぱいがツアーになりそうだ。
新作はその後になると思われるので来年にもリリースされない可能性はあるが、気長に今まで名盤を聴いて待っていることにしよう。